イランと米国が8日、2週間の即時停戦に合意しました。同日の株式市場ではAI(人工知能)や半導体関連株が上昇。その理由としては、中長期的な成長ストーリーが描きやすいからと言われていますが、これらの株と原油価格が密接に関連していることも見逃せません。
AIは大量の電気を消費します。NVIDIAの次世代サーバーの消費電力は1ラックあたり600kW。十数年前の40─120倍と言われ、熱問題もより深刻になってきました。最近では、空冷式よりも冷却効果が高い水冷式も出てきましたが、冷却のために電気がさらに必要になることは変わりません。
原油価格、電気代の上昇は、データセンター全体の運用コストを上昇させます。AI需要がすぐに減退することは現時点では想像しにくいですが、ブーム的なところもなきにしもあらずなので、「エネルギーショック」が水を差すことは十分考えられます。
経済協力開発機構(OECD)の経済学者クリストフ・アンドレ氏による2023年の共著論文では、エネルギー価格が上昇「しすぎる」と、企業の生産性が低下するという研究結果が示されました。
エネルギー価格が5%上昇すると、1年後の企業の生産性は約0.4%ポイント低下しますが、10%上昇したケースでは、4年後に生産性成長率を約0.9%ポイント押し上げることがわかりました。企業が省エネ機械などに投資することで生産性を「押し上げる」のです。
しかし15%以上上昇する大規模ショックでは、投資抑制につながり、長期的なマイナスが残りやすく利益は実現しにくいという結果が示されました。企業は省エネ投資も含め投資に抑制的になり、「傷跡(scarring)」が残りやすいとしています。
WTI原油先物価格は2月27日の1バレル67.25ドルから4月6日に112.50ドルに約67%上昇していました。8日の停戦合意によって一時91ドル台まで下落。電気コストの上昇懸念が後退したことでAIや半導体関連株が買い戻されたとみられます。
パキスタンは米国とイラン両国の代表団を11日から首都イスラマバードに招き、協議をする予定だと伝えられています。しかし、恒久的な解決に至るかどうか不透明であるほか、原油精製施設が破壊されたことで原油価格が高止まりする可能性も小さくありません。影響が短期間かつ限定的であれば、省エネ投資を通じた生産性向上など将来のプラスの効果も期待できるかもしれませんが、原油価格(電気料金)が下がらなければ、データセンター建設の延期や中止が増える恐れもあるので要警戒です。
*赤緑・右軸:FANG指数、青・左軸:WTI先物価格(日足、期間2025年12月11日─2026年4月9日)
(出所:TradingView)
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