日銀が1日に発表した3月短観では、足元の企業景況感は堅調であるものの、先行きに不安を示している様子が伺えました。今後の中東情勢や原油価格・供給次第ではありますが、4月利上げの決定要因にはなりにくい結果と言えそうです。

3月の大企業・製造業のDI(業況判断指数)は17。前回12月調査から1ポイント改善しました。改善は4四半期連続です。大企業・非製造業は変わらず。中堅企業は製造業、非製造業ともに1ポイント改善。中小企業は製造業が変わらずで非製造業が1ポイント低下でした。総じてみれば足元の企業景況感はしっかりしていると言えそうです。

調査期間は2月26日─331日。米国とイスラエルがイランに攻撃を開始したのが228日ですので、回答の多数は攻撃委開始後の可能性が大きいでしょう。それでも景況感が悪化しなかったのは、状況が不透明すぎてまだ織り込めていないのか、それとも中東情勢では揺らぐことないほど堅調なのか、どちらなのでしょうか。

先行きのDIをみると、大企業・製造業は143月から3ポイント低下となりました。大企業・非製造業では7ポイント低下。全規模でも製造業が5ポイント低下、非製造業が8ポイント低下、全産業で7ポイント低下しています。足元の企業の景況感は堅調ですが、先行きには不安を示していることを示しています。

業種別でみると、先行きDIが低下しているのは大企業で製造業が28業種中21、中堅企業が28業種中24、中小企業で28業種中25。企業規模が小さくなるほど、先行き不安感が強くなっています。

トランプ大統領が31日、23週間以内にイランに対する軍事作戦を終了する可能性があると述べたことをマーケットは好感しています。しかし、トランプ氏は作戦を縮小する条件について、イランを「石器時代に戻す」こと、つまり核兵器をすぐに入手できる能力を持たせないことだとしています。イラン側がこの条件を素直に飲むかは不透明です。

一方、足元のドル円も中東情勢の緩和期待で158円台半ばまで下落しています。しかし、3月短観で示された2026年度の想定為替レートは1ドル150.10円。25年度の148.29円から円安方向に振れました。ユーロ円も25年度の167.14円から171.77円に円安方向に修正されています。

円安方向に企業のマインド(期待インフレ)がシフトしており、利上げで止めたいところですが、一方で企業景況感の先行きが弱めになっており、そちらへの配慮も求められます。3月短観の結果は、4月利上げへの「GOサイン」にはならなかったと言えるのではないでしょうか。

263月日銀短観(概要):
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2026/tka2603.pdf