1819日の日銀金融政策決定会合では、他の中銀会合同様に政策据え置きの見通しです。利上げ路線は変わらないでしょうが、原油の価格高騰や原料不足による景気減速懸念に備える必要があるため、「様子見」が選択されるとみられています。他の中銀とやや違うのは円安(による輸入インフレ)への対応が必要なところで、植田和男総裁会見ではタカ派的なトーンになるかもしれません。

日銀の氷見野良三副総裁は2日の金融経済懇談会の記者会見で、中東情勢の見極めについて「どの程度見極めが必要になるかの見極めも、現時点ではできていない」と述べました。「(利上げ路線に)変化があるとは考えていない」としながらも、利上げの前提になる経済・物価情勢の改善基調が崩れないかを見極める考えを示しています。

その懇談会の挨拶(講演)で使ったのが「曼荼羅」図です。物価上昇率や金利、GDP(国内総生産)など経済・物価・金融の要素を円環状に並べ、影響の波及経路を矢印で示すことで、経済・物価・金融の関係を示しました。

文章ではわかりにくいことも図画で示すと一目でわかる、という趣旨ですが、図は非常に複雑。これを一目見ただけで理解できる人は少ないでしょう。この図が示すのは、「世の中は複雑に絡み合っており、経済の状況や金融政策の影響をその都度、見極めていかなければならない」ということが一目でわかるということ、なのではないでしょうか。
氷見野
*図引用:日銀HP

まさに今はその状況です。不透明な中東情勢。原油高はインフレ要因だが、景気圧迫要因でもあります。どちらを先に対応すれば、総合的に経済にとってプラスになるのか、の見極めは容易ではありません。高市早苗首相が追加利上げに難色を示したとの一部報道(224日付の毎日新聞電子版)もあります。その時点から、さらに中東情勢の悪化という要素が加わった状況であり、コンセンサスを醸成するのは難しいでしょう。

ただ今回の日銀会合では、会合後の植田和男総裁会見で円安を意識したタカ派的な発言があるかもしれません。ドル円は一時159円台後半に上昇し、「レートチェック(観測)」があった123日の159円前半を超えてきました。ユーロ円やポンド円などクロス円では円高気味ですが、原油取引は米ドル建てであり、ダブルパンチを受けないためにも、インフレや円安を警戒するトーンになる可能性がありそうです。

18日早朝のドル円は159円付近で推移しており上昇一服ですが、市場はタカ派発言をある程度、警戒しており、もしタカ派発言が出ないと逆に円売りが進む可能性があります。財務省による為替介入への警戒もあるため、160円を超える水準までドル高・円安が進むかは微妙ではあるものの、日本が20日から3連休に入ることもあり、投機筋が仕掛けてくるおそれもあります。前回会合の1月23日は植田総裁会見がハト派的と受け止められて、夕方から円安が進行。日米協同の「レートチェック(観測)」が入りました。

一方、タカ派発言があったとしても、金融政策の先行きの「ヒント」はあまり出ないとみています。日銀会合初日の18日は春闘の集中回答日であり、日銀が重要視する企業の賃金動向が確認できます。この段階では賃上げのモメンタムは継続しているとみられます。しかし、こちらも先行きは中東情勢にかかっています。4月利上げを織り込ませるような確たることは言えないのではないでしょうか。

今回の総裁発言はタカ派的だがヒントは少なめ、というやや微妙なトーンになるとみています。